最近、福祉や介護経営に携わる方たちとの会話で、事業の縮小・休止について話題に上がることが増えてきたように思います。2020年以前、つまりコロナが到来する前までは、祖業の拡大や新しい種別への参入について意見を交わすことがありましたが、コロナ禍以降は大きく潮目が変わったという印象です。私が所属する法人でも収支の厳しさが増しており、将来へ向けてのかじとりをどのように進めていくのか、経営計画の見直しを検討しています。
ただ、事業の縮小や休止・再編をすすめるにしても、押さえておくべき要点があるように感じています。つまり、事業収支の推移という法人経営の視点だけではなく、地域経済の動き、住民の暮らしの動向、従事する職員の気持ちなど、少し時間をかけて丁寧に合意形成をするということに留意したいと思っています。拙速に事業の再編をすすめてしまい、組織が痛んだり、スタッフが離職したという話はよくある話です。昨年度の決算数字が特に厳しいものですから、私もつい拙速に考えがちですが、「冷静に、冷静に……」といつも自分に言い聞かせています。
六心会理事長堤 洋三さん